超短期の経営管理(投資経営)ビザ
入管法の改正により、4ヶ月という超短期の経営管理(投資経営)ビザが新設されましたが、定款認証さえ行えば、簡単に申請が可能というものではありません。
その他の要件である事業計画の作成、事業所の確保などは行った上で申請を行う必要があります。
実際は、会社設立の登記が完了しているかいないかの違いくらいで、その他の要件は満たした上で申請することになりますので、かなり限定された状態の場合に申請することになるでしょう。
例えば、日本に協力者が全くいないような場合などに行う申請となりますが、日本でサポートを行う専門家などは最低限必要となります。
海外在住の外国人のみの場合
海外在住の外国人のみで4ヶ月の経営管理(投資経営)ビザを申請する場合には、以下の手順で準備を進める必要があります。
定款認証
定款の作成に必要な決定すべき事項は以下のとおりです。
商号 | 会社の名称です。 |
事業目的 | どのような事業を行うのかを記載します。事業を行うためにどのような許可が必要かなどを十分精査して記載する必要があります。 |
資本金 | 経営管理(投資経営)ビザの要件として、従業員を雇入れる予定がない場合は、500万円以上にしておく必要があります。 |
本店所在地 | 定款に記載する所在地は最小行政区で止めておくことができますので、移転の可能性などを考えてどこまで記載するべきかを決定します。 |
事業年度 | 設立月から最長1年以内に最初の決算を行う必要があります。何月決算にするのかを決定します。 |
出資者 | 資本金を出資する人のことになります。経営管理(投資経営)ビザの申請の多くの場合、申請者本人がなることになります。 |
役員 | 実際に経営管理の活動を行う方となります。経営管理(投資経営)ビザの場合、代表権を持った役員となることが原則です。 |
また、定款認証を行うためには、出資者の印鑑証明書が必要となるのですが、日本に住所のない海外在住の外国人の場合は、日本の印鑑証明書を準備することができません。
そのような場合、その国に印鑑証明制度がある場合は「その国の印鑑証明書と日本語の翻訳文」、印鑑証明制度がない場合は「サイン証明」を準備することになります。
サイン証明については、申請者の住所を証明する必要もありますので、「在留証明」も合わせて証明してもらう必要があります。
事業所の確保
海外在住の外国人のみで経営管理(投資経営)ビザを申請する場合、この事業所の確保はなかなかに困難なものとなります。
日本に住所がなく、会社を設立途中ということであれば、申請者本人は本人確認をすべき証明書関係がほとんど存在しないことになります。
パスポートや本国の証明書関係で事業所の賃貸契約などを行ってくれる物件オーナーなどを探す必要があります。
こうなるとどうしても、日本の不動産屋さんと連携している行政書士などの専門家の協力が必要となると思われます。
在留資格認定証明交付申請
日本の入国管理局で在留資格認定証明交付申請を行います。
通常の経営管理(投資経営)ビザと異なるのは、会社の設立登記が完了しているかどうかという部分だけで、その他の要件については、ほとんど備えた上での申請となることを再度確認する必要があるでしょう。
無事、「在留資格認定証明書」が交付されれば、申請者の本国へ証明書を郵送することになります。
申請者は、受け取った「在留資格認定証明書」を本国にある日本領事館にその他の必要書類とともに持参し、4ヶ月の経営管理(投資経営)ビザの交付を受け、日本に来日することになります。
4ヶ月の経営管理(投資経営)ビザの場合、日本に来日してからが本番です。
会社設立と諸手続き
申請者は来日後、主に以下の手続きを行う必要があります。
- 日本での住所を定め、住民票登録を行う。
- 住民票登録を行うとともに、印鑑登録を行う。
- 日本の銀行において申請者本人の銀行口座を開設する。
- 資本金の振り込みを行う。
- 会社設立登記を行う。
- 会社の銀行口座を開設する。
- 会社の銀行口座へ資本金を移す。
- 議事録を作成し、申請者本人の役員報酬を決定する。
- 税務署へ法人設立届の他、届出書類を提出する。
- 許可が必要な業種の場合、営業許可を取得する。
これらを4ヶ月以内に行った上で、在留資格更新手続きを行う必要があります。
在留資格の更新手続き
4ヶ月の経営管理(投資経営)ビザからの更新申請を行った場合、ほとんどの場合、1年の有効期間でビザが発行されることになります。
ここからは経営者本来の事業活動にまい進することになります。