【経営管理ビザガイド】在留資格「経営・管理」の三つの要件

在留資格「経営・管理」を取得するためには、大きく分類すると、次の三つの要件を満たす必要があります。

投資の基準 事業所の確保 事業の継続性

いずれも簡単ではありませんが、次からひとつずつ要件を確認していくことにしましょう。

※ここからは、在留資格「経営・管理」を「経営管理ビザ」と表記します。在留資格とビザは、厳密には意味が異なるものですが、通称として「経営管理ビザ」としますね。

投資の基準について

出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令をそのまま抜粋すると、経営管理ビザを申請したい場合には、以下の基準のいずれかを満たす必要があることが定められています。

① その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること

② 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること

③ ①又は②に準ずる規模であると認められるものであること

ややこしいですよね、簡単に言ってしまえば、事業のために500万円以上投資するか、常勤の従業員を2名以上雇用するかのどちらかを満たしてくださいということになります。

  • 500万円以上の投資
    又は
  • 常勤職員2名以上の雇用
ところで③の「準ずる規模であることと認められる」ってなんでしょうか?

これは、たとえば、常勤職員が1名しかいないような場合に、もう1名を雇用できる程度の投資を行っているような場合や、法人形態ではなく個人事業として事業を開始しようとする場合に500万円以上を投資しているような場合などが考えられます。

次に事例を挙げておきますね。

投資の基準 事例
年収250万円の従業員一名と資本金250万円の会社を設立した場合にも、投資の基準を満たすということになります。

また、500万円以上の投資とは、事業を営むために必要なものとして投資している総額のことをいいますので、土地や建物、事務機器の購入費用なども含まれます。

500万円以上の投資とは、事業を営むために必要なものとして投資している総額のことをいいますので、土地や建物、事務機器の購入費用なども含まれます。

400万円の資本金で会社を設立し、100万円で事務所の賃貸契約、事務機器との費用として使用するような場合も③にあたり、投資の基準を満たしているものと認められることになります。

また、500万円以上の投資額については、毎年500万円の投資が必要というわけでなく、一度投資された500万円以上がその後も回収されることなく維持されていれば問題ありません。

投資額の出どころについて

申請の際には、500万円以上の投資について、どのような経緯で準備がされたのかを証明する必要があります。

例えば、会社員として働いていて、毎月のお給料から少しずつ貯めていたのであれば、銀行通帳の写しが必要となるでしょうし、ご両親が送金してくれたのであれば、送金履歴と入金履歴が必要となるでしょう。

また、ご両親が500万円を送金できるだけの資金力があるかどうかを証明するために、ご両親の在職証明や所得証明なども必要とされる場合もあります。

資金については、誰がどうやって準備したのかを詳細に証明しなければならないと覚えておきましょう。

雇用する方の在留資格について

500万円の投資に変えて、常勤の従業員を雇用する場合に注意が必要なのは、外国人を雇用する場合です。

注意点としては、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザの外国人を雇用しても、投資の基準には含まれず、何名雇用したとしても投資を行ったことにはなりませんので注意が必要です。

同じく、資格外活動を申請している「留学」ビザの方の雇用についても、投資の基準には含まれません。

資格外活動は、週28時間以内のアルバイトしか認められていませんので、常勤職員というには無理もありますよね。

外国人を雇用する場合は、次の表の在留資格の方のみが投資の基準に該当することになります。

投資の基準に適合する在留資格 「特別永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」「永住者の配偶者等」

事業所の確保について

経営管理ビザについては、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令において、次のとおり、事業所の確保が必要であることが定められています。

  • 事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること
    又は
  • 事業を営むための事業所が本邦に存在すること

また、総務省が定める日本標準産業分類一般原則第2項において、事業所について以下のように定義されています。

  • 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること
  • 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること

すごく難しいですよね、要約します。

  • 経営管理ビザの事業を行うために必要な、権利関係と設備が整った事業所がしっかり確保できている

以上です。

実務上は、主に次の点などに注意して、事業所の確保を行う必要があります。

設備が備わっていること

事業を行うために必要な設備が備わっている必要があります。

通常、事業を行うためには、パソコン、電話、事務机、コピー機等の事務機器が必要となると思われますので、事業を行うための事務機器の設置が必要となります。

また、飲食店を経営する場合などには、飲食店の店舗と事務所が必要となるでしょう。

店舗内に事務スペースを備えることも可能ですが、キッチンや接客スペースとは別に、事務スペースが確保されていることが必要となります。

飲食店の利用客が自由に入ってこれるような場所では、会社の重要な書類などを保管しておくことは難しいとみなされますので、接客スペースなどと事務スペースがしっかりと区分けされた状態であるか個室などが必要となるでしょう。

その他、以下の点などに留意して事業所の確保を行いましょう。

  • 通常、賃貸契約を締結するのであれば2年以上
  • 一部分を住居使用でも可能ですが、事業所と住居の入り口が別でそれぞれが個室であったり、1階が事業所で2階が住居であるなど、居住スペースと事業所スペースがしっかり区分けされている必要があります。

適正な権利関係

事業所の名義や使用目的等などの権利関係について、適正なものである必要があります。

次のいずれかに該当するかと思いますので、チェックしておきましょう。

法人名義の事業所
  • 法人所有の物件などがある場、設備等が整っているのであれば、問題なく事業所として認められるものと思われます。
申請人個人名義の事業所
  • 申請人が所有する物件を事業用として使用する場合は、設備等を整えた上で、法人への賃貸借契約などを締結する必要があります。
    申請人から法人へ無償で貸し出す使用貸借契約などでも認められます。
事業用の賃貸物件の場合
  • 法人が物件を借りている場合で、使用目的が「事業用」や「事務所」などとなっているのであれば、設備等を整えた上で、事業所として認められるでしょう。
    ただし、申請人個人がその物件を借りている場合などには、法人として使用することについての「所有者の使用承諾書」などが追加として必要となるでしょう。
居住用の賃貸物件の売
  • 申請者が居住用として物件を借りている場合は、まず所有者に、事業用として使用することの使用承諾書、あわせて法人として使用することの使用承諾書も必要となると思われます。
    また、物件が居住スペースと事業スペースでしっかり区分けすることができるかどうかも重要となります。居住スペースと事業スペースが混在しているような場合は、事業所として認められない可能性が高くなるでしょう。

事業所の確保についての事例

最後にいくつか事例を記載しておきますので、参考にしてくださいね。

  • 事業所とされる物件の賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたが、貸主との間で「事業所」として使用することを認めるとする特約があり、事業所が確保されていると認められた。
  • 一つの建物で会社と住居の入り口は別となっており、事業所の入り口には、会社名を表す表札が設置されていた。また、事業所にはパソコン、電話、事務机、コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され、事業所が確保されていると認められた。
  • 事業所が申請者の居宅であり、郵便受け、玄関にも会社の表札等はなく、室内においても事業運営に必要な設備・備品、従業員の給与簿・出勤簿などもなく、室内には日用品などがあるのみで事業所が確保されているとは認められなかった。
  • 事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されており、光熱費の支払いなども同従業員名義であったことと事業用として使用することの貸主の使用承諾が確認できなかったため、事業所が確保されているとは認められなかった。

事業の継続性について(事業計画)

事業の継続性については、今後も事業活動が継続的に行われていくことが見込まれるという必要があります。

新しく会社を立ち上げて、経営管理ビザを申請するような場合、どこで判断されることになるのでしょうか?

まだ実績も何もない状態のはずですので、作成した事業計画書から判断されることになります。

事業計画書を作る目的

事業計画書は、自身のビジネスプランを明確にするために非常に重要な書類となりますが、経営管理ビザの申請においても、重要な資料となります。

本来、事業計画書を作成する理由としては、

  • 自身のビジネスプランや事業の収益性の確認や指標とするため
  • 銀行や政策金融公庫などの金融機関から融資を受けるため

などが主な理由として挙げられるかと思われます。

それぞれの目的に合わせた事業計画書を作成するべきですが、ここではあくまでも入国管理局に提出する資料として、必要とされる事業計画書についてのポイントを記載しておきます。

経営管理ビザ申請のための事業計画を作成する際に気をつけるべきポイントは、主に以下のとおりとなります。

  • 入国管理局に事業の実体があると判断されるに足る資料となっているかどうか
  • 入国管理局に事業の安定性・継続性があると判断されるに足る資料となっているかどうか

上記のポイントに注意した上で、以下の項目について作成していくことになりますが、事業計画書に決まった形式などはありませんので、参考とお考えください。

事業の概要 会社名、所在地、資本金、代表者名、連絡先、株主、資本金、主たる事業目的などを記載します。
開業の目的 開業の動機や目的、現在までの職歴や事業の経験などを記載します。

経営管理ビザの要件としては必要な実務経験年数などはありませんが、関連する職歴や経験があるのであれば、記載しておくべきだと思います。

事業戦略 どういった取扱商品やサービスを行い、ターゲット(お客さん)をどこに定めるのか、またその事業の市場性や収益を確保するための仕組み(仕入・販売でのコスト競争力など)、広告宣伝方法などの営業戦略などについて記載します。
収支計画 資金計画として、当初必要となる資金額と調達方法について記載し、事業開始後の収支計画を記載します。

開業1ヶ月目、開業1年度、軌道にのった後などの時期ごとに分けて、収益性や成長性などがわかるように収支計画を作成するほうがよいと思われます。

また、売上の根拠となる資料、例えば売買契約に関わる見積書や発注書などがある場合なども補足資料として準備したほうが事業計画書の内容に説得力を持たせる有効な資料になるでしょう。

経営管理ビザ更新の際の事業の継続性

経営管理ビザに限ったことではなく、事業活動を行っていれば、様々な要因で赤字決算になることもあると思われます。

ですので、一概に赤字になると経営管理ビザの更新ができないというわけはありません。

事業の継続性については、今後も事業活動が継続的に行われていくことが見込まれる必要はありますが、単年度の赤字などで判断するようなことはせず、貸借状況等も含めて総合的に判断できるよう直近二期の決算状況により以下のとおり、判断されることになります。

直近期又は前期において売上総利益がある場合
  • 直近期において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合
    直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性に問題はないでしょう。
    また、直近期において当期純損失となったとしても、剰余金が減少したのみで欠損金とまでならないものであれば、事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから,この場合においても事業の継続性があると認められます。
    したがって、直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には、事業の継続性があると認められるでしょう。
直近期において欠損金がある場合
  • 直近期において債務超過となっていない場合
    今後1年間の事業計画や予想収益などの資料の提出を行い、事業の継続が見込まれる可能性を考慮したうえで、原則として事業の継続性があるものと認められるでしょう。
    ただし、資料の内容によっては、中小企業診断士や公認会計士等の第三者が評価を行った書類などの提出を求められることもあります。
  • 直近期において債務超過であるが、前期では債務超過となっていない場合
    債務超過となった場合、企業としての信用力の低下、事業の継続が危ぶまれる状況となっているため、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善の見通し(債務超過の状態でなくなること。)があることを前提として、事業の継続性が認められることになるでしょう。
    具体的には、中小企業診断士や公認会計士等による改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面の提出が求められることになります。
  • 直近期及び前期ともに債務超過である場合
    債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかった場合は、事業の継続性があるとは認められません。
直近期及び前期において共に売上総利益がない場合
  • 企業の主たる事業において、売上高が売上原価を下回るということは、通常の企業活動を行っているとは認められず、仮に営業外損益や特別損益により利益を確保したとしても、それが本来の業務から生じているものではないと考えられます。
    単期であれば様々な事情などもあるかもしれませんが、2期連続して売上総利益がないということは企業が主たる事業を継続的に行う能力を有しているとはいえないため、事業の継続性があるとは認められないでしょう。

2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合

他に従業員がいない状態で、2名以上の外国人が共同で起業するような場合、複数の外国人全員が経営管理ビザを取得することはできるのでしょうか?

この場合、非常に限定的な状態ではありますが、一定の要件を備えている場合には認められることもあります。

経営管理ビザを取得するためには、ただ単に役員に就任しているというだけはなく、事業の経営や管理に実質的に参画する経営管理に関する活動を行う必要があります。

原則として、一名の外国人が代表権を持った役員となり、500万円以上の投資を行った上で経営管理活動を行う必要がありますので、複数名の経営管理活動を行う役員が必要であることの具体的な理由を入国管理局に証明する必要があります。

具体的には、次の要件を満たす必要があります。

1.事業の規模や業務量などが複数の外国人が経営する必要があること 一名の外国人では、会社を運営していくことが難しい事業の規模や業務量などがあることが必要です。

例えば、外国人2名でそれぞれが経営管理ビザを申請したい場合、事業規模から判断すれば、少なくとも投資の基準である500万円以上の出資が、500万円×2名として1000万円以上の出資である必要があるでしょう。

また、業務量などから判断するのであれば、サービスを提供する地域が関西と関東のように分かれており、それぞれの地域において経営管理に係る個別の活動を行う必要ある場合などがあるでしょう。

2.それぞれの外国人ごとに行う経営又は管理業務の内容が区分されていること 1.にも関連することですが、それぞれの地域において個別に経営管理に係る活動を行う必要がある場合や、貿易事業などで一人の外国人は渉外(海外取引)業務、もう一名の外国人は輸出品の管理や経理面についてそれぞれが経営管理に該当する個別の業務を担当する場合などが該当するでしょう。
3.それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として相当の報酬額の支払いを受けることとなっていること 日本人と同等かそれ以上の業務量に見合った役員報酬(給与)などの支払いをそれぞれの外国人が受けている必要があるでしょう。

共同経営の具体例

以下に、複数の外国人それぞれに経営管理ビザが認められるような事例を記載しておきますので、参考にしてください。

  • 例1
    外国人AとBがそれぞれ500万円を出資し、貿易業を営む資本金1000万円の会社を設立した。
    Aは海外取引の専門家であり,Bは品質・在庫管理及び経理の専門家であるような場合、Aは海外取引業務の面から、Bは商品の管理及び経理面から、それぞれに会社の経営方針について、共同経営者として合議で決定することにした。
    A、Bそれぞれの役員報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われるような場合。
  • 例2
    外国人AとBがそれぞれ600万円と800万円を出資して、運送業を営む資本金1400万円の会社を共同で設立した。
    運送事業を実施する担当地域を設定し、A、Bがそれぞれの個別の地域を担当し、自らが担当する地域について事業経営を行っている。
    会社全体の経営方針については、A、Bが合議で決定し、それぞれの役員報酬も出資額に応じた割合で支払われるような場合。

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